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エコキュート開発背景を各社のHPからまとめてみた

エコキュートは、CO₂を自然冷媒に用いるヒートポンプ式給湯機として2001年に世界で初めて商品化され、以降、国内外の主要メーカーが独自の技術改良とバリエーション展開で給湯市場を革新してきた。

目次

1. 世界初の黎明期:デンソー×電中研×東京電力の共同開発

1993年、ノルウェー工科大学の論文をきっかけにデンソーがCO₂冷媒の研究を開始。その後、日常的に大量のCO₂が発生する化学工場排ガスを再利用できることや、安全性・省エネ性に優れる特性を評価し、1998年7月にデンソー、電力中央研究所(電中研)、東京電力による「CO₂ヒートポンプ給湯機」共同開発プロジェクトが発足した。

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  • 100気圧を超える超臨界圧力下での高効率圧縮技術
  • タンクの小型化と静粛性確保
  • 学習機能付き制御によるユーザーごとの運転最適化

2000年頃までに試作・評価を繰り返し、北海道から沖縄のモニター家庭30軒で実証試験を実施。2001年4月、コロナが世界初のCO₂ヒートポンプ給湯機「エコキュート」を発売し、その革新性が日経地球環境技術賞をはじめ多数の賞を受賞した。

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2. コロナ:世界初の商品化と市場浸透

発売時期:2001年4月
特徴:デンソーの基本特許技術を採用した世界初のCO₂ヒートポンプ給湯機
主な受賞:省エネ大賞(経済産業大臣賞)、日経地球環境技術賞

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3. パナソニック:量産体制の整備と多彩な製品ラインナップ

生産開始:2002年3月、奈良県大和郡山市工場で第1号機「HE-37R1AS」を量産開始。
[4] 増産体制:2006年に滋賀県草津市へ生産拠点を移管。
バリエーション:狭小地用薄型タイプ、床暖房併用機、スマートフォン連携リモート制御機能搭載モデルなどを順次展開。
環境・省エネ賞:COP9(2003年)、EPA Climate Protection Award(2002年)など国内外で多数受賞。

政府補助金制度の立ち上げ(2002年度)と相まって、パナソニック製エコキュートは急速に普及し、2020年末までにグループ累計で200万台を突破した。

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4. 東芝(日本キヤリア):ESTIAブランドの確立

東芝キャリア(現・日本キヤリア)は2003年ごろから参入し、「ESTIA(エスティア)」ブランドで家庭向けから集合住宅向けまで製品を拡充。銀イオン抗菌、見える化省エネモニタ、5年保証など付加価値機能を強化し、コストパフォーマンスに優れた機種群を提供している。

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5. 日立:家電・空調技術を活かした展開

日立製作所は、家庭用ルームエアコン「白くまくん」で培ったヒートポンプ・制御技術をエコキュートに応用。2004年以降、冷暖房一体型マルチシステムの経験を活かしつつ、低騒音設計と耐久性を重視したモデルを発表している。

6. ダイキン:空調技術を軸としたカーボンニュートラル戦略

ダイキン工業は1985年に熱回収型マルチシステムを開発して以降、2006年ごろから欧州市場で先行販売。グローバル連携の下、ヒートポンプ暖房・給湯の要素技術を深化させ、「おひさまエコキュート」(2022年発売)では太陽光発電の余剰電力を活用し、昼間沸き上げを実現した。

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7. 技術進化と普及の軌跡

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開発機関/メーカー 発売時期 主な特徴
コロナ(基本技術提供:デンソー) 2001年4月 世界初のCO₂自然冷媒ヒートポンプ給湯機
パナソニック 2002年3月 狭小地対応、床暖房併用、スマホ制御など多彩
東芝(日本キヤリア) 2003年頃 ESTIAブランド、抗菌・見える化・5年保証機能搭載
日立 2004年以降 低騒音設計&耐久性強化モデル
ダイキン 2006年頃(欧州) 欧州先行展開、太陽光連携「おひさまエコキュート」

8. 今後の展望

2030年度導入目標:1,590万台(経産省「第6次エネルギー基本計画」)
IoT・AI制御によるさらなる「学習機能」強化
太陽光・蓄電池との連携深化によるカーボンニュートラル住宅の実現
業務用・集合住宅向け大容量ユニットの普及

エコキュート開発の原点である「自然冷媒×ヒートポンプ」の革新的な発想は、各社の独自進化を通じて家庭給湯の省エネ・脱炭素化を牽引し続けている。

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